資本を必要としている地域社会に投資することで、社会や環境、またはその両方など、重要な分野に変化をもたらしたいと考えるならば、インパクト投資はその1つの方法となる。
気候リスクに対する保険会社のエクスポージャーを把握及び管理しようとする規制当局の動きが世界的に高まっており、シナリオ分析がその重要なツールになると考えられている。気候シナリオのモデル作成はまだ生まれたての分野であるため、保険会社や運用会社は、その導入や効果を促進する上で重要な役割を担っている。
ロシアによるウクライナ侵攻は、人々に甚大な苦しみをもたらし、欧州における従来の政治的コンセンサスを根底から覆した。また、西側諸国がロシアの石油やガスに代わるエネルギー源の確保に苦しむ中、環境問題の優先度が低下しかねないとの懸念も高まっている。しかし、データはそうした懸念とは異なる動きが進んでいることを示唆している。
米国で2022年8月16日に発行したインフレ削減法にはクリーンエネルギーの開発を促進するための大規模な予算が盛り込まれており、同市場やそこでの投資機会の双方にとって大きな追い風となる公算が大きい。本稿ではアライアンス・バーンスタインの投資の専門家2人がこの画期的な法律に関する当面の所感について述べていく。
2060年までにカーボンニュートラルの実現を宣言している中国では、二酸化炭素(CO2)排出量のおよそ半分が国営企業で占められている。一方で、国営企業は中国の再生可能エネルギーをはじめとする低炭素エネルギーの分野でも主要な役割を担う。
グリーン・ボンドは従来型の債券に比べ、下値余地が抑えられるという評価を得ている。だが2022年は市場全体が下落する中で、グリーン・ボンドのディフェンシブなパフォーマンス特性の成果はまちまちだった。それは投資家にとって何を意味するのだろうか?
小型株を対象にしたファンダメンタル・リサーチは一般的に少ないが、環境・社会・ガバナン ス(ESG)に焦点を当てたリサーチはそれ以上に不足している。しかし、熱心な投資家は、信頼できるESGデータにアクセスする方法を見つけ出し、サステナビリティに関する問題の解決に大きく貢献している企業を発掘することができる。
欧州中央銀行(ECB)は、金融政策において、「気候に関するパフォーマンスが優れた」企業の社債を重視する方針を発表した。世の中の流れからすると総じて歓迎すべき動きだが、発行体をはじめとするさまざまなステークホルダーが存在するため、言うは易く行うは難しといえる。
インパクト投資は、経済的リターンを得ながら、社会や環境に直接的かつ測定可能な影響を与えることを目指す投資を指す。これまでは、プライベート・デットや株式市場に関連する分野とされてきたものだが、米国地方債という非常に重要な債券市場でもインパクト投資の概念は存在する。
ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)を推進する施策がビジネスの追い風になると認識する企業が増えている。こうした「ダイバーシティ・リーダー企業」を見いだすことができる株式投資家は、特にイノベーションの推進や業績拡大を目指す上で人的資本が大きな役割を果たしている企業の中で、魅力的な企業を発掘することができるだろう。
カーボンオフセットが環境・社会・ガバナンス(ESG)問題に占める役割は比較的小さいが、炭素排出ネットゼロの目標を掲げる国や企業が増える中、炭素削減を加速させるツールとして、投資家から着実に注目を集めている。需要拡大を背景に、一部の市場では取引されるクレジットの価格が過去最高水準に達している。
持続可能な債券ポートフォリオの構築は分かりやすく単純なことのように見えるかもしれないが、実際はそうではない。自動車産業は、民間セクターにおいて完全に持続可能な投資を行うことの難しさを示す1つの例だ。
環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する格付けは、責任投資の分野における特定の基準に合致する企業を探し出す一般的なツールである。しかし、ESGの問題が期待リターンにどう影響するか、または企業が将来どのようにESGパフォーマンスを改善させる可能性があるかについて包括的な見解を求める投資家にとって、外部機関の格付けは全体像を示してはくれない。
持続可能性と社会的発展を促進するグローバルな取り組みには、上場企業の積極的関与が必要である。多くの従業員を擁する巨大な組織であり、世界の隅々まで製品やサービスを届ける上場企業は、この移行プロセスに不可欠な存在である。
今日の債券市場は、環境・社会・ガバナンス(ESG)の名を冠した債券(ESGラベル付き 債券)を通じ、責任投資に関する優れた機会を提供している。こうした比較的新しい債券は、発行体にESGという大義名分を与えるほか、彼らの負債コストを引き下げている。それらは測定可能なインパクトをもたらすことができるため、投資家はこのような債券を好んでいる。
二酸化炭素排出ネットゼロ目標に対するコミットメントは、首尾一貫した計画に基づくものでなければ、ただの空約束に終わりかねない。こうした問題意識をもとに、アライアンス・バーンスタインでは、気候変動及び投資にかかわる課題を分析し、測定可能な成果を生み出す戦略的プログラムを策定及び実行することで、ネットゼロへの根拠ある道筋を作り出そうとしている。
サプライチェーンの混乱が世界中の企業を試練にさらしている。解決策は発酵タンクからも見つかるのだろうか? アライアンス・バーンスタインはこの危機によって、素材から食品まで多くの製品について、外部に依存せずに地元で持続可能な供給を確保するため、合成生物学の技術を取り入れる動きが加速する可能性があると考えている。
ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、エネルギーや防衛関連の銘柄に対する投資家の見方、特に環境・社会・ガバナンス(ESG)の観点からの見方が変わりつつある。投資家は西側諸国のエネルギー自給と軍事的な抑止力の向上に貢献できる、責任ある企業への投資を検討するべきかもしれない。
環境・社会・ガバナンス(ESG)債と名が付いた債券を発行する企業が、以前よりもさまざまな業界に広がっている。こうした資金調達手法は、より環境に配慮した世界に移行する上で重要な役割を果たすとみられるため、歓迎すべき動きである。だが、ESGの名を冠した債券がすべて同じわけではない。本当に将来の環境改善に役立つプロジェクトに資金を提供するためには、投資家は実質的なものと形式的なものを見極める必要がある。
欧州の投資家は、ポートフォリオの環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する信頼性を確認するために新たに策定された規則を理解することに苦しんでいる。規制のガイドラインが曖昧なため、資産運用会社は、自社の商品がサステナブル投資の分類にどう適合するかを示す明確なフレームワークを提示しなくてはならない。
環境・投資先の企業が気候変動リスクの解決に向けてどれだけ役に立っているのかを見る上で、注目が高まっているのがカーボンハンドプリントだ。カーボンハンドプリントは、その企業の製品を使用することによってどの程度炭素の排出を防いだかを測定するもので、企業の事業ファンダメンタルズへの評価と合わせて活用できる。銘柄選別においてこの手法を用いることで、優れた長期リターンを生み出すとともに、環境問題に寄与するポートフォリオを構築することができるとアライアンス・バーンスタインでは考えている。
地球の気候は極めて複雑なシステムで、気候変動が激化するにつれ、大きな被害をもたらす異常気象が相次いでいる。例えば、北極の氷山が減れば大西洋の海温循環が変化し、アマゾンの熱帯雨林で干ばつが頻発するようになる。こうした相互作用は地球規模で起こっている。
環境、社会、ガバナンス(ESG)要因は、投資のサステナビリティにとっていずれも重要である。ガバナンスは最後に記載されているが、債券投資家にとって決して後回しにすべき問題ではない。投資家は組織のガバナンス(指揮及び管理するために用いられる手法やプロセス)を精査することによって、国家や企業の倫理観、リスク管理、全体的なサステナビリティに関する重要な情報を得ることができるからだ。
環境・社会・ガバナンス(ESG)を重視したサステナブル投資の劇的な拡大を受け、投資家の間では懐疑的な声も上がっている。メディアでも、「ESGバブル」に対する警告や、サステナブル投資の効果への疑問などが見受けられる。アライアンス・バーンスタインはこうした否定的な見方の多くは的外れだと考えている。
環境・社会・ガバナンス(ESG)債は、より良い、より持続可能な世界を作り出すことに寄与していくだろう。投資家もこれらの債券に熱い視線を寄せている。しかし、ここ数年はESG債の仕組みが普及するのに伴い、投資環境が一段と複雑になり、混乱を引き起こす可能性も生じている。
強制労働を通じて企業が得る利益は年間1,500億米ドルに上ると推定されており、グローバルなポートフォリオに組み入れられている企業の一部は、無意識のうちに現代奴隷に関わっている可能性がある。ただ、明るいニュースとしては、企業や投資家は個別に、または協力して、この問題に取り組むことができることである。
米国労働省は2021年10月中旬に、確定拠出年金(DC)プランの投資商品を選択する際の受託者責任を明確にするルール改正を提案した。アライアンス・バーンスタインは、この新たなルールは、受託者がプランの投資メニューを立案する際に、環境・社会・ガバナンス(ESG)要因を考慮するよう促す大きな一歩だと考える。
将来の気候変動により、各セクター及び企業にとっての物理的リスクや移行リスクも増大する。しかし、投資家はこの変化をどのように分析・評価すればいいのだろうか?またどのように数値化すればいいのだろうのか?
全世界で4,000万人以上の人々が、強制労働、債務の束縛、人身売買など、さまざまな形で現代奴隷の犠牲になっていると推定されている。強制労働だけでも、その背後にいる犯罪組織に年間1,500億米ドルの利益をもたらしていると言われている。
2021年11月にグラスゴーで開催された第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)は、200カ国が「グラスゴー気候合意(GCP)」に署名して幕を閉じた。この合意は気候変動に関する取り組みに弾みを付け、炭素排出の大幅な削減を推進する可能性がある。
投資家や企業が気候変動リスクに対処しようとする動きが強まる中、ネットゼロ排出を実現する手段としてカーボンオフセットを利用することについての議論が高まっている。アライアンス・バーンスタインは、企業がベストプラクティスに従う限りにおいて、カーボンニュートラルを達成するためオフセットを使う余地があると考えている。
コモディティは、その代替性の高さと用途の広さから、人々の生活のほぼすべてに浸透しており、世界はコモディティがいつでも入手できることを前提に動いている。しかし、気候変動が進み、問題を食い止めるための取り組みが勢いを増すにつれ、この前提ははさまざまな形で影響を受けることになろう。その中には見た目にも明らかなものもあれば、そうでないものもある。
新興国の社債市場は最も急速な成長を遂げている債券セクターの1つとして、無視できないほど規模が大きくなっている。社債を発行している企業は600社を超え、発行残高は2兆7,000億米ドルと新興国のソブリン債市場全体を上回り、米ドル建て及びユーロ建てのハイイールド市場を合わせた規模に匹敵している。魅力的な利回りと潜在的なリターンを得る投資機会を見つけ出すのに苦しんできた債券投資家にとって、これは明るいニュースである。
個別の発行体の評価の際や、気候変動が投資戦略に与える影響を考慮するなど、投資家にとって、投資に環境・社会・ガバナンス(ESG)を取り入れることはますます必須事項となりつつある。マルチアセット運用では、このほかに、組織としてのESG目標を戦略的アセット・アロケーションの形で示すことが求められる。これは、リスクとリターンの考察を組み入れる際は、ほとんど習慣となっているようなプロセスかもしれない。しかし、ESGということになると、マルチアセット運用を行う投資家はどのようにしたらこのプロセスを身体に覚えこませることができるだろうか。
エネルギー価格の高騰は、再生可能エネルギーへの移行に伴う課題を浮き彫りにしている。過渡期において引き続き石油やガスを必要としていることは、ネットゼロの世界を目指す上で、環境ニーズと社会的問題のバランスを取ることに関する複雑な問題を提起している。
電気自動車(EV)への移行はサプライチェーン全体の大きな変化を意味しており、環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する複数の問題を伴っている。自動車業界が持続可能な事業慣行を模索する中、投資家は変化のプロセスを促進及び加速させるため、政府や企業と協力していく必要がある。
低炭素戦略を重視する株式投資家は、企業のファンダメンタルズについて妥協する必要はない。クオリティ指標と魅力的なバリュエーションが均等に考慮されていれば、世界的な気候変動との戦いに加わることと、高いリターンを創出することは両立させることができる。
新型コロナウィルスのパンデミックは、国家、社会、人々、企業に大きな変化をもたらした。環境、社会、ガバナンス(ESG)に関する問題が絡み合っていることから、コロナ後の世界における投資アロケーションの重要な部分としてのサステナブル投資戦略の役割が高まっている。
新型コロナウイルスは新興国全体で不平等の拡大や社会問題の深刻化をもたらし、ポピュリスト的な動きの加速につながっている。いくつかの新興国にはとりわけぜい弱になりうる共通点があり、環境、社会、ガバナンス(ESG)分析の多面的な活用は、こうした潜在的にリスクの高い国を見つけ出す一助となりうる。
新型コロナウイルスは新興国全体で不平等の拡大や社会問題の深刻化をもたらし、ポピュリスト的な動きの加速につながっている。いくつかの新興国にはとりわけぜい弱になりうる共通点があり、環境、社会、ガバナンス(ESG)分析の多面的な活用は、こうした潜在的にリスクの高い国を見つけ出す一助となりうる。
中国政府が掲げている2060年までにカーボンニュートラル(CO2の排出量をネットでゼロにすること)を実現する構想は、クリーンエネルギーのインフラ構築に向けた投資サイクルをけん引するとみられる。サプライサイドの改革は消費者にとって原材料価格の上昇につながるが、株式投資家にとっては、再生可能エネルギー関連銘柄や、持続可能なビジネスモデルに移行しつつある環境汚染型産業への投資機会となる。
ブラジルでは大規模な山火事や政府の環境保護政策の後退を受け、森林破壊が国際的な注目を集めている。アライアンス・バーンスタインの株式・債券ポートフォリオはブラジルの牛肉生産会社に積極的に投資しており、環境リスクや投資リスクを軽減しながら、熱帯林の保護に寄与しうる持続可能な活動を促す機会を提供している。
商業用不動産担保証券(CMBS)への投資で最も重要なのは、担保物件の価値評価だ。しかし、投資家が不動産の存続を脅かすようなリスクを無視しているケースが見受けられるのが実情だ。
期待リターンが低くボラティリティが高い環境を受けて機関投資家がポートフォリオの分散に資する新たな機会を模索し、投資対象を広げていることは周知の事実である。こうした中、責任投資に基づく運用戦略が解決策の1つとして存在感を強めている。
環境意識の高い投資家は、気候変動問題に取り組むポートフォリオを求める姿勢を強めている。カーボンハンドプリントや、製品やサービスが環境にどんな影響を与えるかを評価することは、世界の気候変動問題に対処する強力なソリューションを提供するとともに、魅力的な成長の可能性を秘めた企業を見つけ出す優れた方法である。
エネルギー源としての水素の可能性が改めて注目されている。実用化には20年ほどはかかるかもしれないが、その影響はほとんどの長期投資家の投資計画期間内に実感できる可能性が高い。今のうちに投資にどのような影響を及ぼし得るか、しっかり考えておくべきだろう。
気候変動は将来的に、金融や経済の面で大きな影響をもたらす可能性がある。アライアンス・バーンスタインは、米国コロンビア大学地球研究所と共同で、「気候変動と投資に関するアカデミー」を立ち上げた。この教育フォーラムは、気候変動に関する多くの科学的な側面や投資決定に与えうる影響について、顧客やパートナーがより深く学習するのを手助けすることを目的としている。
環境・社会・ガバナンス(ESG)にリンクした債券は投資適格債市場で大きな人気を集めている。ハイイールド債の発行体にとって、こうした流れに乗じる好機が到来していると、アライアンス・バーンスタインでは考えている。投資家にとっては、新たな投資機会がもたらされると同時に、分析上の課題が生じることになろう。
2060年までにカーボンニュートラルの実現を目指す中国の構想は、中国による気候変動問題への取り組みだけでなく、同国政府が経済の将来像をどう描いているかをおぼろげに示している。より持続可能な成長に向けた取り組みが進む中で、環境に配慮した経済への移行は、多様な投資機会を新たに生み出すと予想される。
カーボンニュートラル経済への移行は極めて重要であり、サステナブル投資を掲げる投資家はその道のりを支えるため、ポートフォリオに組み入れている社債が炭素排出にもたらす影響を注視する必要がある。しかし、債券ポートフォリオのカーボンフットプリントを把握するには、従来の指標から得られる情報よりも、理解しておくべきことが多くある。
多くの大企業の最高経営責任者(CEO)を歴任したルイス・ガースナー氏はかつて、「組織とは結局のところ、その構成メンバー全体の価値創造力にほかならない」と述べている。
企業が新型コロナウイルスのパンデミックからの回復に向けてさまざまな課題に直面する中、経営陣が正しい方向に舵取りするのを支援するには、議決権行使を通じた株主のアクティビズムが必要になりそうだ。企業の間で株主を含むすべてのステークホルダーの利益を考慮しようとする気運が高まる中、アライアンス・バーンスタインでは、環境・社会・ガバナンス(ESG)要因を投資プロセスに組み込むことが、議決権行使を通じて長期的な企業価値を高める取り組みの指針になると考えている。
産業セクター全体で、低酸素投資の関心は風力発電や太陽光発電といった再生可能エネルギーに向けられている。これは自然な動きであるが、再生可能エネルギーだけにとどまらず、効率的なエネルギー技術やカーボンフットプリントのより正確な測定などを通じ、排出量の削減を目指してさらなる措置を講じる企業が増えている。
世界が、かつてないほどに、環境、社会、ガバナンス(ESG)に関する課題の解決策を模索しているように、我々は困難な時代を生きている。しかし、これらの課題は、高いリターンを得ながら社会的利益の向上に貢献しようとする株式投資家にとって、刺激的な投資機会を生み出している。
世界中の企業が炭素排出量の削減を競っている。しかし、野心的な目標を達成するには実際に何が必要なのだろうか?2040年までに炭素排出量をネットでゼロにするという、フェデックスが最近掲げた約束は、投資家が考えるべき問題を浮き彫りにしている。
世界の炭素排出量の60%以上は新興国から排出されており、世界銀行は、気候変動により2030年までに6,800万人から1億3,200万人が貧困に追いやられる可能性があると推測している。環境・社会・ガバナンス(ESG)問題への取り組みを進める必要があるのは明らかである。
米国の政権交代は同国の環境政策に急激な変化をもたらし、特に石油・ガス・セクターに大きな影響を与えている。同セクターにとってこれが終えんの幕開けになるとはABは考えていないが、エネルギー・セクターは大きな変化に直面しており、各企業はそれに適応する必要がある。
欧州連合(EU)の新たなグリーンディール(2050年までにEU域内の温室効果ガス排出をゼロにすることを目標とする政策)においては、資金面の懸念が出ているにもかかわらず、すでにグリーンへの移行が進んでいる。それは債券投資家にも明確な影響を及ぼしており、対応が急務となっている。
企業文化がビジネスの成功に不可欠な要因であるという考えには大半の企業が同意するだろうが、企業文化がどのようなもので、何の目的に役立つかについては、企業によって大きく理解が異なるかもしれない。ABでは、それぞれの企業が自らの企業文化をどのように定義しているかにかかわらず、多くの企業にあてはまる本質を説明することは可能だと考えている。
投資家はサステナブル株式運用戦略に殺到しており、2020年には資金流入額が過去最高に達した。しかし、サステナブル株式運用戦略のマネジャーを選ぶことは依然として難しい。そこで、責任投資の目標に沿ったポートフォリオを見極めるために、投資家が何をすべきか考えてみたい。
衝撃的かもしれないが、地元の店に生鮮品や衣類を買いに行くことが、人間に対する搾取を助長しているかもしれない。投資家にとって、同じような構図はポートフォリオの中にも存在している可能性があり、それを排除するには受け身の取り組みだけでは不十分である。
新型コロナウイルスは衝撃的なほど短期間のうちに人類と世界経済に深刻な打撃をもたらした。生命、健康、経済にもたらした影響は明白で、しかもただちに現れた。投資家や科学者らは、新型コロナウイルスと気候変動の共通点を認識せずにはいられなかった。
ABはより強力なESGモデルを開発する上で、伝統的なソブリン・クレ ジット分析を強化し、長期的な経済パフォーマンスを決定づける要因について新たな視点をもたらすフレ ームワークを構築した。
社会のサステナビリティが問われる今、資産運用の世界でもこれまでの財務分析に加えて、ESG(環境・社会・ガバナンス)による視点を加味して投資先企業を評価する動きが活発化しています。ESGに関わる運用戦略が続々と発信される中で、ABがESG投資によって目指すビジョンを整理してお伝えしたいと思います。
脱炭素化を通じて気候の改善を目指している企業への投資は、必ずしもパフォーマンスの低下を意味するものではない。実際はその逆である。低炭素をテーマとする株式投資は環境の健全化に寄与するばかりでなく、魅力的なリターンを獲得できる可能性もある。
投資家はビジネスや潜在的なリターンを評価する際、企業文化には大きな関心を払わないケースが多い。しかし、企業文化は成功と失敗の決め手となる可能性がある。とりわけ、イノベーションをテコに成長し、事業トレンドの変化に柔軟に適応しなければならない成長企業にとってはそうだ。
ESG(環境、社会、ガバナンス)分析を運用プロセスに組み込むことの重要性が増しつつある中、特に気候変動のような最新の科学的知見が重要となる分野について、資産運用会社はどのように対応すべきなのでしょうか
ポートフォリオ・マネジャーは、銘柄選択にあたって考慮すべき全く新しいタイプの変数に直面しつつある。株式及び債券投資家は、経済、産業、企業にさまざまな影響を与える気候変動を無視することはできない。本稿では、コロンビア大学及びウイリス・タワーズワトソン社の2人の専門家、そしてABの2人のポートフォリオ・マネジャーに、運用プロセスの中で気候変動に効果的に対処するためには何が必要なのかについて、それぞれの見解を聞いた。
投資家は、環境分野への取り組みに特化したグリーン・ボンドへの投資に熱心だ。しかし、正しい銘柄選択を行うためには、発行企業の財務状態ばかりでなく、当該債券に関するガバナンス体制や、発行企業の全般的なサステナビリティに寄与するものであるかどうかを分析する必要がある。
政府による資金支援を利用する企業が増えるにつれ、そうした税金の使い方が株主にどのような影響を与えるのか、という疑問が高まっている。この疑問に答えるためには、投資家は企業の行動やステークホルダーの関与が、企業の長期的な業績をどのように形成するかを評価しなければならない。
世界の金融システムと同じように、気候は極めて複雑でインタラクティブなシステムであり、投資家にとって、その変化が個々の発行体に与える広範な影響を理解するのは困難な作業だ。新型コロナウイルスのパンデミックにより、気候変動がもたらしかねない潜在的な影響とともに、世界の社会、政府、投資家、企業による協調した対応が急務であることが明確に示された。私たちは、完璧な対応を求めるあまり手遅れになるような事態は避けなければならない。
喫緊の課題である気候変動に対処するためには、巨額の資本を賢く投資する必要がある。そのためには、気候科学者と投資家がお互いから多くのことを学ぶことができるというのが、コロンビア大学の気候科学の専門家とアライアンス・バーンスタインの運用プロフェッショナルのコラボレーションの背景にあるアイデアである。
コロナ危機を通じて、企業はさまざまな課題に直面している。ESG(環境、社会、ガバナンス)の要素を調査に組み込む投資家は、企業がこの危機にどう適応しているか、そして将来の収益ポテンシャルがどのような影響を受けるかについて、重要な知見を得ることができるだろう。
運用プロセスにESG(環境、社会、ガバナンス)評価を組み入れ、アクティブな銘柄選択を通じて長期的なリスク・リターン特性の向上を図るためには、投資先企業との継続的なエンゲージメント(対話)が重要となる。
近年、より良い社会を創出するために企業や投資家の果たすべき役割を問う声が高まり、責任投資(RI)に注目が集っています。本シリーズでは、責任投資に関するアライアンス・バーンスタインの経験から、現在実務の最先端ではどのように投資が行われ、どのような課題に直面しているのかをご紹介します。
情報技術の進化によって、世界にはこれまでにないほど多くのニュースやデータが溢れているが、新型コロナウイルスの登場はそれにさらに拍車をかけている。投資家は、ウイルスによって不確実性が強まるなかで、重要な情報をどのように識別し活用することができるだろうか?
責任投資の原則をポートフォリオに取り入れる方法は数多くある。しかし、環境・社会・ガバナンス(ESG)の面で優れたポートフォリオを構築するにあたり、一部の投資アプローチは他のアプローチよりも優位性があるかもしれない。その好例は集中型の株式投資である。
国際連合の持続可能な開発目標(SDGs)は、社会に良い影響をもたらす企業に投資するための優れた指針となる。だが、実際にそのような投資を実践するには、何から始めれば良いのだろうか? まず、SDGsそのものを深く掘り下げることによって投資可能なテーマを特定することから始めてみよう。
持続可能な未来を築くために、単に好ましくない分野の企業を投資対象から除外するだけではなく、もっと積極的な役割を果たしたいと考える債券投資家が増えている。また、環境分野への取り組みに特化した資金調達手段である「グリーン・ボンド」への投資に留まらず、もっと大きな社会的インパクトを与えたいという機運も高まっている。そうした目的を持った投資家が長期にわたって効果的に投資を行う方法のひとつは、伝統的な社債投資において国際連合の「持続可能な開発目標(SDGs)」を基準として利用することである。
国際連合の持続可能な開発目標(SDGs)は、社会に良い影響をもたらす企業に投資するための優れた指針となる。だが、実際にそのような投資を実践するには、何から始めれば良いのだろうか? まず、SDGsそのものを深く掘り下げることによって投資可能なテーマを特定することから始めてみよう。
資産運用業界は長らく男性中心の社会だったが、状況は変わり始めている。業界をリードする会社がそうした状況を変えるために多大な時間とリソースを注ぎ込んでいるためだ。
海面上昇や壊滅的な被害をもたらす異常気象など、投資家は気候変動のリスクを無視するわけにはいかない。現在予測されている気候変動が現実のものとなれば、多くの企業が打撃を受け得るため、株式投資を行うポートフォリオ・マネジャーはリサーチのプロセスで気候変動の影響を考慮するとともに、この問題について企業が積極的に取り組むよう経営陣にはたらきかける「エンゲージメント」も重視すべきであろう。
資産運用の世界では、たいていの仕事は1人だけでは進められないことを誰もが理解している。多くの場合、グループやチームといった集団が問題解決にあたる基礎ユニットとなろう。だが、そうしたグループが思慮深く効果的な意思決定を行い、好ましくない判断を回避できるようにするには、どうすればよいのだろうか?
現在、あらゆる分野の企業に対しD&I に関する改善を求める声が高まっている。すべての職階における女性の雇用拡大から、男女賃金格差の縮小、採用判断における性別、年齢、人種に対する偏見の解消に至るまで、課題は山積している。
女性の地位向上を司る組織は存在しないが、それは逆に言えばすべての組織が自ら責任を負わなければならないということである。そのため、女性が自分の能力を発揮して自らの針路を決められるようにする「エンパワーメント」に取り組む動きが広がっている。エンパワーメントは、まず教育から始まる。次は公平に職業に就いて正当な収入を得られるようにすることで、特に女性の進出が遅れている分野ではそれが重要となる。そして究極的には、女性が職場でリーダーシップを執ったり、自分の事業を立ち上げたりすることが目標となる。
ここ数年、投資の世界のみならず、ビジネスの世界でも「ESG投資」という言葉を見聞きすることが増えている。2017年には、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がESGファンドへの投資を始めたことを発表している。 ESGに対応した情報公開を行う企業は急増しており、ESGを冠したファンドの設立も盛んだ。
前回の記事では、投資の世界のみならずビジネスの世界においても注目を集めている「ESG投資」について、これまでの「環境投資」と何が違うのか、なぜ注目されているのかといった基本的な定義や影響について解説した。今回は、アライアンス・バーンスタインがどのようにESG投資に取り組んでいるのか、そしてESG投資の未来といったことについて述べていく。
責任投資の世界では、環境・社会・ガバナンス(ESG)問題に関する格付の高さを重視する傾向が強まっている。しかし、ESG格付が低くても改善への明確なコミットメントを示している企業に投資する方が、投資家にとっては大きな成果を得られるかもしれない。
ポートフォリオの運用業務における環境・社会・企業統治(ESG)要因の重要性が高まるのにともない、機関投資家は運用会社に対して多くの問いを投げかけている。運用チームを評価する際に注目すべき重要なポイントを明らかにするために、アライアンス・バーンスタインでは実際にリサーチを行っているアナリストにヒヤリングを行った。
投資計画において責任投資がもたらす機会と課題について、世界の4つの機関投資家に聞いた。多岐にわたるトピックに関し、彼らの経験に基づく知見を紹介したい。